口をゆすぐとき

もしもいま私が誰かの母親だったらその子に心配かけてしまうだろうな、と思った。母親が普通の人間であることを忘れないようにしたいと思っていても、どこかで揺らがないでいてほしいと願っていて、むかし母が嘔吐している気配で目が覚めた深夜や苛つきながらアクセルを強く踏んだその速度の感覚を思い出して、同時に、心配しながらもうっすらと失望していた自分を思い出して、少し泣きたくなる。