鬼の春

「うちに鬼は来ません。我が家にとって2月3日はめでたい日なのだから」

今年の節分は2月2日だったけれど、鬼は来ただろうか。来ていたのかもしれない。豆を撒かなかったら鬼は居座ってしまうのだろうか。

節分は文字通り季節の分かれ目、2月の節分は立春の前日である。今日から春。春だと信じてみる。今日は暖かかった。営業先へコートを着ないで出かけてみた。駅のホームで電車を待つ間は風が冷たかったし、肌の表面温度が低くて正しく検温できなかったけれど、気分はかなり春だった。だから楽しいとか、そういうわけではなく、ただ春の気配が立つのを感じた気がした。

鬼の春。鬼はどこにいますか。そこに春は来ますか。節分に豆から逃げるようにして外へ出された鬼たちは、春が来ることを恨みますか。それとも春と一緒にこちらへ来るのですか。春が好きな鬼はきっと優しい、とか軟弱なこと考えている。